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 さてさて。

ちょっとリハビリ。

の、ペンロ。まあ、いつも通りだけどね!!!






ひんやりと底冷えする寒さに、ふわりと意識が浮上する。
眠りについた覚えは無かったが、特有の気だるさからそうであったのだろうと認識する。
「さみ・・・。」
小さく呟いて身体を丸めた。
眠った覚えがないのだから、勿論ベッドに横たわった覚えも、毛布を被った覚えも無い。普通なら慌てるべき状況だがしかし、覚えのあるベッドだという事とほのかに柔らかい気配が己を包んでいる事から、記憶を辿ろうとすら思わなかった。
「毛布をもう一枚持ってこようか、船長。」
落ち着いたテノールに、小さく首を振る。
背を向けている方から仄かな蝋燭の明かりが広がっている。机上のランタンでも点けているのだろう。時間からして航海日誌を書いていたのかもしれない。
「おれ、寝てた?」
「半刻程。」
聞くまでもない問いだが、律儀に返答する男はこれまた律儀にペン立てに筆を置く音を立てる。
「書いてろよ。」
「終わったんだ。」
「随分都合の良い。」
「そうだな。」
つまりこれは航海日誌への記入より、己の発した『さみ』という二文字を取った結果だという認識でいいのだろうか。そんな事をぼんやり考えていると、軋み音と共にベッドへ体重が加わった。
「明日からは秋島だから、気温が低くなっているのだろうな。」
「・・・・・・お前の部屋?」
「机に突っ伏していた。」
緩く記憶が繋がる。用があったけれど探す程でもないし、けれど暇だったのでこの男の部屋で待っていたのだ。あまり踏み入る事がないけれど、どこか落ち着く空気にそのまま寝入ったらしい。
「なるほどな。」
薄い冷気から身体守る毛布を丸め寄せながら呟くと、男が緩く圧し掛かってくる。
「どうした?」
気配に誘われて見上げると、部屋の暗さも相俟って深淵のような瞳と視線がかち合う。
「久しぶりに深く寝た、気がする。」
男が静かに笑む。
舌足らずな声を出してしまっただろうかと思った瞬間、唇にそっとキスを落とされた。温く、暖かい。
「やはり毛布をもう一枚追加するとしよう。」
潜り込む身体にそっと場所をあけると、肩を引かれ抱き締められる。やはり暖かい。
身体の末端からじわり、伝わる体温を心地よく感じて目を閉じた。
「・・・毛布は、いらねぇ。」
「船長?」
嫌だったか、と這い出ようとする男のツナギを掴んで引きとめる。

「『お前』が、いい。」

返事が無い男を無視してその固い胸に擦り寄る。命の中心だからか、熱い。
冷えた空気はいつの間にか霧散していた。

これでさっきよりも、
深く眠れる、

だろう、



か。



**********
愛おしさが込み上げて咄嗟に返事出来なかったペンギンさん。
お構いなく寝る船長。珍しい。

少しずつ秋の空気になってきてるので書いてみた。
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