忍者ブログ

 [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



| HOME |

 お題チャレンジってみた

恋愛お題ったー(http://shindanmaker.com/)をやってみた。


結果↓
水方さんは、「昼の水族館」で登場人物が「手を繋ぐ」、「罠」という単語を使ったお話を考えて下さい。


マジか。やったらあ。





麗らかという単語が当てはまる空の下。
甲板には船長をはじめ、ちらほらとクルー達が時間を潰しにきていた。
「なぁ、ペンギン。」
そこにかけられる退屈そうな船長の声。
綺麗なテノールに、呼ばれていない者まで思わず耳を傾ける。
「どうした?」
ローの足元で本を呼んでいたペンギンは、頁を捲りながら神経を研ぎ澄ます。どうやら敵を感知したという訳ではないらしい。
「ロー?」
「・・・。」
返事は、無い。
ペンギンも黙り込んだ。


「なぁ、シャチ。」
「何スかローさんそれヤメテって言ってるでしょー。」
小さく呼ぶ声だが、船尾付近に居たキャスケットには届いたらしい。手摺に腰かけ、足をぶらぶらと揺らす。一度も腕を上げていないので、釣りの成果は芳しくないのだろう。
「ローさん?」
「・・・。」
返事は、無い。
キャスケットも黙り込んだ。


「なぁ、カモメ。」
「あいさー。」
顔を上げて、ローは女性クルーを呼ぶ。彼女は日に焼けた肌に新しいブレスレットを付け加えているところだった。サイズの調整に手こずっているらしく、おざなりな返事だ。
「どったの船長ー?」
「・・・。」
返事は、無い。
カモメも黙り込んだ。


「なぁ、ベポ。」
「なぁに~?」
船体を挟んで反対側に居るベポへ声をかければ、小音量に関わらずベポは声を返す。白熊の癖に喜んで日向ぼっこをしているのであろう。たんまりと日光を浴びている毛は、ローの頭の中で今夜の布団に決定される。
「キャプテ~ン?」
「・・・。」
返事は、無い。
ベポも黙り込んだ。


「なぁ、レミング。」
「んだよ。」
次の標的は比較的新しく、そして年若いクルーだ。本日の洗濯係の彼は今、甲板のど真ん中で愛用のバンダナを丁寧に洗っているところだった。今している色違いはスペアなのだろう。泡だらけの手を休めて振り返った。
「船長?」
「・・・。」
返事は、無い。
レミングも黙り込んだ。


次の言葉は何かと、クルー達がローの一挙一動、または気配に臨戦態勢を取る。己の時間に浸っているように見せて、中身は全て、あますところなくローに注がれていた。
そして彼は、海面を見ながらぽつりと呟いた。

「・・・・この船、なんか水族館みてぇ。」

その一言に、全員が脱力する。
単に時間を持て余した彼が張った、陳腐な罠なのだ。
主に一番近い場所に居る動物だけが、引っかかる事を許される。
「部屋に行かないか?」
暇なのだろう?
ペンギンが声と共に取った細い手は、日陰に居た所為かひんやりとしていた。
そうして二人を見送ったキャスケットは、当たりを引き始めた竿を理由に追う事を止めた。閉じた扉に向かってレミングがギャンギャン吠えているのを尻目に呟く。
「ペンギンってそんな素早い生き物だったっけ?」
「水中ではね。」
『その気になった船長と遊ぶ権利』を狙っていたカモメは恨みがましい声で皮肉る。ベポだけが変わらず日向ぼっこを続けながら、伸びを一つ。


「うーん・・・気持ちいいなあ。」


海の上の水族館は、今日も順調に航海を進めている。
PR
| TRACKBACK: | COMMENT:0 | HOME |

COMMENT

コメントする


 

このエントリーのトラックバックURL

これがこのエントリーのトラックバックURLです。

このエントリーへのトラックバック

BACK| HOME |NEXT

自己紹介

*HN*
水方 葎

*自己紹介*
・マイペース
・単車乗り
・一人暮らし
・動物好き

カテゴリ

ブログ内検索

コメント

[11/04 羽音]
[02/24 刹那]
[09/14 響子]
[09/07 響子]
[04/01 響子]

リンク

カウンタ

解析